外壁塗装の塗料について説明します。

 塗装の仕事をしていない限り、一般の人は塗料のことなんて調べたこともないのが普通ですよね。そこで、人生の24年間を塗装に捧げたプロ塗装のタイキリフォームが、はじめての方でもわかりやすいように、塗料についてご説明させていただきます。

下塗り塗料と仕上げ塗装の違い

 塗料には、大きく分けて2種類の塗料があります。『下塗り用塗料』『仕上げ塗り用塗料』です。
まずはそれぞれの役割についてご説明いたします。

①『下塗り塗料』

 下塗り塗料とは、下地の補修効果や中塗り上塗りの接着性を高める塗料であり、「3度塗り」という工程のなかで1番最初に塗布する塗料です。

②『仕上げ塗料』

 仕上げ塗料には外壁を紫外線や雨などをシャットアウトし建物を守る効果があります。「耐候性」(どれぐらいの長持ちを期待するか?)と「機能ごと」(断熱・光沢など)で分類されます。

・サイディング壁

サイディング材の中でも近年最も普及しているのが「窯業系サイディング」です。
◎使用する下塗り塗料
・サイディング用シーラー系
・サイディング用サーフェーサー系

水性や油性、1液タイプや2液タイプなど細かく分類することもできますが、主にこの2種類になります。「メーカーカタログ」にきちんと「適用下塗材」と記入されてるものを選定します。
使用する下塗り塗料を簡単に説明します。サイディング用シーラー系 は「粘度」が低く(多少高いものもあります)、「接着剤の様な役割」があります。ひび割れや欠損がなく、比較的塗装面が良好な場合に使います。

サイディング用サーフェーサー系 は「粘度」が高く、クラック(ひび割れ)や欠損など傷みのある下地への修復も兼ねた下塗り塗料です。 状況にあわせてこの2種類の下塗り塗料を使いますが、表面の荒れが目立つ場合などは、シーラーを塗布してからサーフェーサーを塗布することもあります。

・モルタル壁

モルタル壁は昔ながらの外壁材です。現在では、窯業系サイディングが主流となっていますが、昔はモルタル壁が大半を占めていました。特徴としては大壁を形成できることです。サイディングのようにコーキング目地が入らないのも特徴です。しかし、反面ひび割れしやすいというデメリットもあります。そんなモルタル壁のデメリットをカバーしてくれる下塗り材が『微弾性フィラー』という下塗り塗料です。粘度が高く細かいひび割れなどは微弾性フィラーが埋めてくれますし、多少の伸縮にも追従できる特徴があります。大変多機能的に幅広く使用されます。

ただ、気を付けなければいけないことがあります。広い面を塗装する際は、繋ぎ目が出やすくムラになりやすいということです。繋ぎ目やムラを出さない為に、工夫して塗装することが重要で、プロの技が光る部分とも言えるでしょう。

ALC壁

 ALCはAutoclaved Light-weight Concreteの略で外壁材の名前です。発泡剤で多孔質化した軽量気泡コンクリートのことです。 板状にしたものはALC板あるいはALCパネルといいます。

 軽量で施工、加工が容易で、断熱性・耐火性も高く、主に鉄骨造や木造建築に使用されています。気泡が多いため水分を含みやすい外壁材なので、塗装やシーリングの補修がとても重要です。ALCの塗装において、下地調整が十分に行われないことが原因で防水性が問題となる事があります。気泡が多いために表面がザラザラしていることが特徴です。

下塗り塗料は主にフィラーを使用し細かい気泡の目がしっかりと埋まるように塗装をしていきます。

・トタン・ガルバニウムの壁

 鉄部といわれる金属製部材で、外壁(トタン、ガルバリウム鋼板)、屋根(トタン、折板、ガルバリウム鋼板)手摺、笠木、雨樋の受け金具等いろいろなところで使用されています。昔は鉛丹錆止めが主に下塗りで使用されていましたが、現在では対候性に優れているエポキシ系の錆止めが主流となりました。
 鉄部は必ず下地調整の『ケレン』という作業が必要でケレンせずに塗装してしまうと剥がれの原因になったり、錆がすぐ出てきてしまったりします。


 ケレンとは、錆を落としたり、塗装面の密着をよくするために行う作業です。ワイヤーブラシやサンドペーパー、マジックロンという研磨剤を使って磨いていきます。下地の状態や、部材などによっては電動工具を使用することもあります。

・木の壁

 タイキリフォームでは匂いの優しい塗料を使用しております。
 木部に関しては、塗料選択に細心の注意が必要です。基本的に自然の物なので劣化が早く、杉、松、ヒノキなど様々な種類があります。それこそ経験がなければ塗料選択を誤ることがあります。
 吸い込み具合が木の種類で違いますし、新しい木、古い木でも違います。塗装してあるのかないのか、木目が見えている塗り方をするのか、木目を潰してしまうのかで全く塗料や工法が変わってきます。木部が使用されている場所や状況によっては、塗装してもすぐに剥がれてしまうこともあります。
 このような状況の時は板金をカバーしてしまう工法をお勧めします。

下塗り剤

上塗り材(仕上げ塗料)

ラジカル制御型上塗り材

 高耐候酸化チタン、光安定材を配合されて製造されており、ラジカルの発生を長期間抑える効果がある。高性能塗料

無機塗料上塗り材

 無機塗料とは、無機物の特徴で劣化しにくく、外壁を長期間にわたって保護します。またカビや苔の発生を抑え雨水で汚れを浮かせ洗い流す特徴があります。さらに耐侯年数が15~20年の耐久性があるので塗替えの回数が少なく済みます。

 こちらは費用面がお高いこともあり、現時点では全体の10%前後。長持ちはしても、すぐにデザインを変えたくなる方が多いようです。

木部用塗料

環境汚染が少ないワックスとなります

コロニアル屋根用上塗り材

 

瓦屋根用 上塗り材

付帯部用上塗り材

美しい塗装になるかは、塗る人の経験値が鍵を握っています。

 さて、塗料について、大枠はご理解いただけましたでしょうか?
 以上が塗料の説明となりますが、最後に、一つ言えることは、どれだけすばらしい塗料を使ったとしても、それを使う人の腕良くなければ、美しい塗替えはできません。特に、塗装に関しては、生まれ持ったセンスよりも、現場経験の数がとても重要になってきます。

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